法然上人御遺訓『一枚起請文』⑦
住職三分法話79 令和8年7月1日
前回からの続きとして『一枚起請文』の内容の解説の6回目をお伝えいたします。
原文
証の為に両手印を以てす
意訳
(浄土宗の教えが正しい事を)証明するために両手の印を押します。
『起請文』とは「この文に間違いがあれば罰を受けます」と神仏に誓う誓約文です。さらにその『起請文』に両手印を押すことは“身命をかけて誓う”ということを重ねて強調する行為です。
法然上人はこの一枚起請文をご往生の2日前に書かれました。
“身命をかけて誓う”とはこの世の命だけでなく、後生の命まで捧げるという強い意志を示されたことになります。
極楽浄土に往生したいと願い、阿弥陀仏に対し、ただ一向に「なむあみだぶつ」と称えることで必ず極楽浄土に救われる
「この私(法然上人)が示す浄土宗の教えに嘘偽りがあるならば、私(法然上人)は地獄に落ちてもかまいません」と現世の命だけでなく後生の命もかけて、「浄土宗の教えは間違いない」と形にして残してくださったことに八百年の時を越えて有難さが沸いてきます。
この両手印を押される時、真冬の京都の庵で病に伏せる法然上人は呼吸も荒く途切れ途切れにお念仏を称える中、冷たい墨に手を入れ、ご自身の寿命が尽きることなど顧みず、力強く紙に手を押し当てられました。その『一枚起請文』は京都・金戒光明寺に現存し、その教えは現世を生きる私達に伝わっています。その命がけの法然上人の意志の通り、今日もただ一向に「なむあみだぶつ」。 合掌
一枚起請文に押された両手印


