浄土宗の法要⑧ ~鎮西忌(ちんぜいき)~
鎮西忌とは、浄土宗の第二祖、聖光上人(しょうこうしょうにん)のご命日の法要です。聖光上人は浄土宗の宗祖法然上人の元で約8年間共に修行され、法然上人から直接、浄土宗の二代目を任された方です。聖光上人は数百人いた法然上人の弟子の中でも最も法然上人の教えを正しく受け継いだ方で、法然上人72歳、聖光上人43歳の時、法然上人から浄土宗を託され法然上人の元を離れます。その後は故郷の筑後(現在の福岡県)を中心に念仏の教えを広められ、浄土宗の教えを体系的に詳しく分かりやすくまとめた著書『末代念仏授手印(まつだいねんぶつじゅしゅいん)』を撰述されます。
この『末代念仏授手印』は現在も浄土宗の最も大事な行事(修行)である『五重相伝』において教科書となるものです。浄土宗の教えを正しく後世に伝え広められたそのご功績から九州全体の古称である「鎮西」から聖光上人は「鎮西上人」とも呼ばれています。
聖光上人が法然上人から受け継いだ浄土宗の教えを一言で言えば、それは「ただ一向に念仏すべし」という、極めてシンプルな教えです。
「南無阿弥陀仏」と称えれば、阿弥陀様が必ず極楽浄土へと救ってくださる。この教えは、すべての人に開かれた救いの教えであり、難しい学問や厳しい修行をすることができない人、老若男女、貴賤を問わず、誰もがその救いを頂ける教えです。
しかし、この教えを誤って解釈する人は鎌倉時代から現在まで一定数いることは事実です。「一回称えれば十分だ」「称えれば称えるほどご利益がある」など、浄土宗のお念仏の本意を見失った説に対して、聖光上人は、こうした間違った説が広まることを憂い、法然上人から直接聞いた教えを忠実に記録し、後世に伝えることを決意され、その成果として『末代念仏授手印』という教科書を私たちに残してくださいました。
その教えの真髄はやはり法然上人が残されたお言葉の通り『愚鈍の身になして~智者のふるまいをせずしてただ一向に念仏すべし』に尽きます。
聖光上人は1238年2月29日、77歳でご往生されました。そのご命日に浄土宗では毎年2月28日(閏年は29日)に鎮西忌を営みます。
この鎮西忌は、単なる聖光上人の年忌法要ではなく、私たちがお念仏の教えを受け継ぎ、日々の生活の中で実践していくための誓いの法要です。
聖光上人がつないだ浄土宗の教えをそのまま受け取り、これからも、ただ一向にお念仏の日暮らしをしてまいりたいと思います。
合掌。「なむあみだぶつ」

