法然上人御遺訓『一枚起請文』①
住職三分法話73 令和8年1月1日
『一枚起請文』は法然上人がご臨終の二日前に書き遺された、まさに上人の遺書であり、浄土宗を信仰する私達への訓示です。
その名のとおり、一枚の紙にしたためられた、わずか380字ほどの文ですが、そこには浄土宗の教えの根本が簡潔明瞭に示されています。
今回から10回に渡り、『一枚起請文』の内容をお伝えいたします。さらに法然上人がこの『一枚起請文』を示された時代背景や法然上人の真意にも迫りたいと思います。
『一枚起請文』は法然上人がご臨終の二日前に遺されましたが、それは弟子の源智(敬称略)の「法然上人の教えを滅後の形見として頂きたいのです」との願いによって、書き与えられたものです。源智は約13年間、常に法然上人のそばにいて、身のまわりのお世話をしながら直接教えを受けた弟子の一人です。法然上人のご臨終が近いことを案じての願いでした。
源智は、その『一枚起請文』を竹筒に入れ肌身離さず持ち歩き、法然上人の教えを守り、お念仏に励み、ご往生された京都・東山の地に知恩院(浄土宗総本山)を建立し、自身の弟子に法然上人から授かった『一枚起請文』を託しました。その『一枚起請文』は現在、京都・金戒光明寺(浄土宗大本山)に所蔵されています。
さらに法然上人が『一枚起請文』の題名にあえて“起請文”(起請とは神仏に現世の命と後生の命をかけて誓うこと)と名付けられた想いを察すると「ただ一向に念仏すべし」という弟子への戒めとしての遺言ではなく、最後まで法然上人ご自身が「私が示す浄土宗の教えが、阿弥陀仏や釈迦牟尼仏の真意背く嘘であったなら、私は地獄に落ちてもかまわない」と神仏に命を懸けて誓い、必ず念仏を称えることで阿弥陀仏に救われ極楽浄土へ往生できる事を示してくださった事が本当に有難いです。
次回からは『一枚起請文』の内容を細かく紐解いて、お伝えしたいと思います。合掌。

