浄土宗の法要③ ~花まつり~【灌仏会(かんぶつえ)】
住職三分法話64 令和7年4月1日
浄土宗の法要③ ~花まつり~【灌仏会(かんぶつえ)】
仏教の三大法会と言えば、お釈迦様のご命日に勤める涅槃会(2月15日)とお釈迦様が覚りを開かれたことを記念して行う成道会(12月8日)そしてお釈迦様がお生まれになった日を祝う灌仏会(4月8日)です。灌仏会は「花まつり」という呼び方のほうが一般的かもしれません。
「花まつり」ではお釈迦様が誕生された際、天から神々が降りてきて祝福のために甘露の水を注いだという経典の説示になぞらえて小さなお釈迦様のお像に甘茶をかけご誕生を讃えます。小さなお釈迦様は生まれたばかりのお釈迦様のお姿を表しています。お釈迦様はご誕生されすぐに7歩歩き右手で天を指し、左手で地面を指さしながら「天上天下唯我独尊」とおっしゃいました。これは「この世界で我より尊いものはいない」という意味ですが、文字だけ見るといくらお釈迦様とはいえ少し傲慢な感じがしますが、この言葉は「自分だけが」ということではなく、「我」とはこの世に存在するすべての人、私達一人一人が尊いということです。お釈迦様はこの言葉を通してこの世に生をうけた全てのもの、一人の「いのち」は、「他の誰とも代わることのできない尊い存在です」だからこそ尊い者同士、互いを尊重しましょう。誰の命も尊いものです。と最初にお示しくださりました。
そして浄土宗においてお釈迦様はこのような仏教の教えを説いていくださった教祖であるとともに、浄土宗の教義である「なむあみだぶつ」を称え、阿弥陀様に極楽浄土へ連れて行っていただくという事を示してくださった教主として受け取ります。
そしてこのことはお釈迦様出世の本懐(このことを伝えるために現世にお出ましくださった)と法然上人がはっきりとおっしゃっています。この法然上人のお示しによって浄土宗に縁をいただいた私達は阿弥陀様とお釈迦様の関係を次のように明確に確認することができます。
阿弥陀様は私達を極楽浄土へと連れて行ってくださる仏様。
お釈迦様は阿弥陀様という仏様が存在し、「なむあみだぶつ」を称え、救いを求める全ての人を極楽浄土へ救ってくださることを示してくださった仏様。
阿弥陀様とお釈迦様は一体の仏様ではなく、それぞれ別の仏様として私達を導いてくださっています。浄土宗ではお釈迦様を阿弥陀様と同様にお慕いし信仰する『二尊教』という教えが基本となっています。
「花まつり」では阿弥陀様の救いを示し、全ての人が極楽浄土へ救われることを示してくださったお釈迦様に対して改めて感謝の意をこめてお念仏をお称えしたいと思います。 「なむあみだぶつ」 合掌